目次
- 1.「ファクトリーブース vs クリーンルーム」工場環境の最適化に必要な基礎知識
- 2.ファクトリーブースが選ばれる理由|柔軟性・コスト効率・安全性の3大メリット
- 3.クリーンルームとは?
- 4.クリーンルームのレベルごとの特徴
- 5.まとめ:クリーンルームとファクトリーブースの役割と主な違い
- 6.ファクトリーブースの設計・製造は間仕切.jp
製造業において、生産環境の最適化は品質向上やリスク管理の鍵となります。
工場や倉庫内などで、「クリーンルーム」と「ファクトリーブース」は、いずれも業務スペースとして欠かせない空間ですが、その役割や導入メリットは大きく異なります。
クリーンルームが超高精度な清浄度を要求される半導体や医療分野で重宝される一方、ファクトリーブースは「隔離」「安全性」「コスト効率」を重視する現場で需要は拡大しており、多様な業界業種で、柔軟な環境構築を実現するソリューションとして注目されています。
本コラムでは、クリーンルームとの違いを明確にしながら、ファクトリーブースの具体的なメリットやコスト比較、間仕切.jpならではの事例をご紹介します。「予算が限られる」「工程ごとに環境を分けたい」「将来のレイアウト変更を見据えたい」とお悩みの企業様にとって、最適なソリューションを提案いたします。
1.「ファクトリーブース vs クリーンルーム」工場環境の最適化に必要な基礎知識
製造現場の環境整備において、「クリーンルーム」と「ファクトリーブース」は混同されがちですが、目的・コスト・運用方法が根本的に異なります。まずは両者の違いを正しく理解し、自社工場に最適な選択をするための基礎知識を解説します。
クリーンルームは、微粒子や微生物を極限まで排除する「超高清浄空間」です。半導体製造や無菌製剤の生産など、塵1つが製品不良に直結する工程で必須です。ISOクラスに基づく厳格な空気清浄度管理が特徴で、設備投資や維持コストが高額になるデメリットがあります。
一方、ファクトリーブースは「特定の工程を隔離し、簡易的な環境制御を行う空間」です。塗装時の粉塵拡散防止や有害物質の封じ込め、静電気対策など、部分最適化を目的とします。モジュール式のため低コストで導入でき、レイアウト変更も柔軟。
▼選択のポイント
- クリーンルーム:全工程の超高清浄度が必要な場合
- ファクトリーブース:一部工程の隔離・安全対策・コスト抑制を優先する場合
過剰な設備投資を避け、必要な領域にリソースを集中させるためにも、両者の違いを押さえた上で最適解を選びましょう。
2.ファクトリーブースが選ばれる理由|柔軟性・コスト効率・安全性の3大メリット
パーティションによるファクトリーブースの需要が製造業で拡大している背景には、「柔軟性」「コスト効率」「安全性」の3大メリットがあります。従来のクリーンルームでは実現できなかった課題解決力を具体例とともに解説します。
メリット1:柔軟性
モジュール式設計により、3日~1週間で設置が完了。既存設備を撤去せずに増設可能で、生産ラインの停止リスクを最小化します。間仕切.jpのファクトリーブースは天井高や幅のカスタマイズにも対応し、多様な現場ニーズに柔軟に対応します。
メリット2:コスト効率
クリーンルームの建設費は、およそ1㎡あたり50万~100万円かかるケースが目安なのに対し、ファクトリーブースは10万~30万円が相場です。維持費も空調管理が不要な分、年間で最大70%のコスト削減を実現した事例もあります。
メリット3:安全性
ファクトリーブースは、密閉性や防塵性、遮音性に優れているため、工場の安全性を高めることができます。遮音性、断熱性に優れたスチールパーティションや経済的なアルミパーティションでのファクトリーブースがあります。
3.クリーンルームとは?
クリーンルームは、さらに「温度、湿度を快適な状態にして、そして外からのゴミが進入しないように室圧を制御した部屋」です。
日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格である日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)のコンタミネーションコントロール用語より抜粋すると、『空気中における浮遊微小粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、その空間に供給される材料、薬品、水やその他についても不純物、ゴミを取り除いてゴミを持ち込まないようにしようとする空間』のこととあります。
クリーンルームにはレベル(クラス)があり、空気中の微粒子の量によって決められる空気の清浄度合いのことです。クリーンルームは、一般的な室内環境より高い清浄度が求められるため、微粒子の数に基づいて細かいレベル分けがされています。
クリーンルームのレベルは、施設の用途や、要求されている空気清浄度に応じて変化します。高品質な製品の製造や精密な研究・実験を行う際は、より高いクラスのクリーンルームが必要です。
このクラス分けの基準は、1963年にアメリカにて「米国連邦規格」として確立されました。基準に基づいて、航空機産業、電子産業・工業に使用されている部品の品質向上を目的としたことが始まりです。クラスの数字が小さいほど空気中の粒子数が少なく、高品質なクリーンルームになります。
これまでレベル分けの方法には、米国連邦規格を含む複数の規格が使用されていました。しかし、現在では「ISO14644-1」が唯一の国際規格とされています。


クリーンルームの国際規格:ISO14644-1
クリーンルームの国際規格の「ISO14644-1」は、1999年に制定された統一規格です。その後、2015年に改定が行われています。
この規格では、1立方メートル当たりに含まれる粒径0.1μm以上の粒子数に基づいて、クリーンルームのクラスが決まる仕組みです。例えば、1立方メートル中に0.1μm以上の粒子が10,000個存在する場合、そのクリーンルームは「クラス4」です。以下の表は、ISO14644-1のクラス分けの基準を示しています(※)。
ISO14644-1 | 0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1μm | 5μm |
クラス1 | 10 | 廃止 | – | – | – | – |
クラス2 | 100 | 24 | 10 | 廃止 | – | – |
クラス3 | 1,000 | 237 | 102 | 35 | 廃止 | – |
クラス4 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | – |
クラス5 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | 廃止 |
クラス6 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 |
クラス7 | – | – | – | 352,000 | 83,200 | 2,930 |
クラス8 | – | – | – | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 |
クラス9 | – | – | – | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 |
なお、日本には「JIS-B9920」の国内規格もあります。これはISO規格の元となった基準で、おおまかな内容は同じです。ただし、クラス数の表記方法に違いがあるため、注意が必要です。
※参考:微粒子・微生物測定器ならニッタ株式会社.「クリーンルームの規格(ISO 14644-1:2015)」.(参照2025-01-27)
4.クリーンルームのレベルごとの特徴
クリーンルームには、レベル(クラス)があり、製造業や医療施設での品質管理や安全性の確保を可能とします。
レベルには異なる規格や基準があり、また産業分野によって求められる空気清浄度も異なるため、適切なクラス選択にまず悩むところです。
クリーンルームの国際規格や、粒子の大きさや異物の種類などを紹介致します。
粒子の大きさについて
クリーンルームでは、塵埃や細菌などの異物を非常に小さな単位レベルで除去する必要があります。
塵埃のサイズは主にnm(ナノメートル)やμm(マイクロメートル)といった単位で表されます。これらの単位はもともと細菌やウイルスの大きさを示すために使われていましたが、現在ではさまざまな指標やサイズの基準に用いられています。
細菌は約0.1〜3.0μmと言われており、電子顕微鏡を使ってやっと目で確認できるくらいのサイズです。このように、クリーンルームでは粒子レベルの異物を対象とした基準が設けられているため、高い空気清浄度を維持する管理体制やシステムが重要です。
クリーンルームにおける異物
クリーンルーム内での異物は空気清浄度への影響が大きいため、除去や清掃、発生原因の特定を行うことが大切です。ここでは、比較的どの業界でも紛れやすい異物や、業界ごとに発生する異物を紹介します。
金属片
クリーンルーム内の異物の種類の一つに、金属片があります。金属片には重さがあるため、その場にとどまりやすい異物です。そのため、ほこりなどに比べると清掃で取り除きやすい異物です。
しかし、製品に付着して傷を付ける原因になったり、電気系統に影響を及ぼしたりする可能性があるため、早期の除去が望ましいでしょう。
繊維くず
クリーンルーム内の異物には、繊維くずもあります。
繊維くずは軽量で空気中に浮遊しやすく、静電気にも反応しやすい異物です。そのため、作業員の少しの動作で宙に舞いやすく、除去が難しいのが特徴です。
また、生産材に繊維くずを含む天然素材や化学繊維が使用されていることあるため、クリーンルームから全ての繊維くずを取り除くことは困難でしょう。
その他の異物
他にも、業界別に想定される異物には、以下のようなものがあります。
- 食品工場:虫や毛髪、ガラス、金属など
- 電池工場:アルミ、銅などの金属片
- 塗装工場:塗装材やコンベアのごみなど
これらの異物が混入すると、クリーンルームの空気清浄度に大きな影響を与えてしまいます。そのため、異物の除去と入念な清掃、発生原因の特定などが不可欠です。
【クラス別】産業ごとの清浄度レベルの目安と対策
ここでは、クラス別に、産業ごとの清浄度レベルを説明します。各レベルの対策も合わせて紹介するので、順に見ていきましょう。
クラス6〜8
ISOクラス6〜8が求められる主な産業とその対策は以下の通りです。
- 印刷工場:生産している製品の品質の向上や管理を行う。
- 自動車部品工場:自動車関連の部品製造で発生する鉄のこげ、くずなど、目に見える異物を取り除く。
- 手術室・治療室:手術室や集中治療室、検査室の空気感染を考慮し、患者さんや医師の保護を行う。
病院の手術室や治療室は、厳格な清浄度のレベルが求められているイメージも少なくありません。しかし、一般的には、クラス6〜8の清浄度が定められています。
クラス5〜8
クラス5〜8が求められている産業と、その対策ポイントは以下の通りです。
- 薬品・食品工場:醸造品、乳製品、食肉加工などの工程で、虫などの異物混入対策を行う。
クラス5〜7
クラス5〜7が求められている産業と、その対策ポイントは以下の通りです。
- 産業分野:電子部品工場:コンデンサーやプリント基板、ディスクなどの品質管理や、生産性の向上に取り組む。
- 光学機械工場:レーザーやレンズ、カメラ、などの高精度製品の品質管理を行う。
- 精密工場:時計の製造ライン、ロケット用の部品の製造、ミニチュアベアリングなどで、効果的なほこりや異物の除去や品質管理を行う。
クラス3~5
クラス3〜5の高い空気清浄度クラスが求められている産業と、その対策ポイントは以下の通りです。
- 半導体工場など:エッチング、蒸着、研磨や集積回路を扱う工場ライン上で、レベルの高い空気清浄度の管理を行う。
クリーンルームのレベル(クラス)は、製造業や医療分野で製品の品質や安全性を確保するための重要な指標です。クリーンルームを設置する際は、国際規格のISO14644-1に基づいて、空気中の微粒子数を把握し、産業分野ごとに適切なクラスを選択しましょう。
クリーンルームの設置を検討する際は、その用途や必要な空気清浄度レベル、想定される異物の種類などを総合的に検討する必要があります。
5.まとめ:クリーンルームとファクトリーブースの役割と主な違い
クリーンルームとファクトリーブースの役割と主な違いを以下に整理します。
ファクトリーブースの役割
- 目的: 工程の隔離や作業環境の簡易的な制御。清浇度よりも「隔離・安全・効率化」が主眼。
- 主な用途:
- 塗装ブース(粉塵や揮発性物質の拡散防止)
- 組立ブース(部品の管理や静電気防止)
- 化学処理ブース(有害物質の封じ込め)
- 特徴:
- 簡易的な密閉空間: パーティションやカーテンで区切り、局所的な環境を構築。
- 汎用的な環境制御: 換気や排気システムはあるが、清浇度はクリーンルームほど厳格ではない。
- 柔軟性: モジュール式で設置・撤去が容易。
クリーンルームの役割
- 目的: 微粒子(ホコリ、微生物など)の数を厳密に管理し、高度な清浇度を維持するための空間。
- 主な用途:
- 半導体製造(チップ生産時の塵を排除)
- 医薬品・バイオテクノロジー(無菌環境での製剤や細胞培養)
- 精密機器の組み立て(微小な塵による不良品を防ぐ)
- 特徴:
- 空気清浄度: HEPA/ULPAフィルターで微粒子を除去し、ISOクラス(例: ISO 1~9)で清浇度を分類。
- 環境管理: 温度・湿度・気圧を精密に制御。
- 入室時の厳格なプロトコル: 防塵服の着用、エアシャワーによる除塵など。
比較
項目 | クリーンルーム | ファクトリーブース |
---|---|---|
清浇度 | ISO基準に基づく厳密な微粒子管理 | 清浇度は重視せず、隔離・安全が目的 |
コスト | 高額(設備・維持費) | 比較的低コスト |
環境制御 | 温度・湿度・気圧・微粒子を総合管理 | 換気や排気など特定の制御のみ |
用途例 | 半導体、医薬品、無菌手術室 | 塗装、組立、化学処理 |
構造 | 恒久的で高度な遮蔽構造 | 簡易的・モジュール式 |
産業プロセスにおいて、必要に応じて両者を組み合わせるケースもあります(例: クリーンルーム内に静電気防止用のブースを設置)。
6.ファクトリーブースの設計・製造は間仕切.jp
ファクトリーブース: 「工程の隔離や簡易的な環境整備」が目的。汎用的で柔軟な運用が可能。
クリーンルーム: 「微粒子の徹底管理」が命題。超高精度な製造・研究に必須。
ファクトリーブースとクリーンルームのどちらの設置を検討する際は、その用途や必要な空気清浄度レベル、想定される異物の種類などを総合的に検討する必要があります。
間仕切.jp運営のアイピック株式会社は、国内トップクラスのパーティションメーカーとして、30年以上にわたりファクトリーブースの設計・製造を手がけてまいりました。モジュール式設計により、既存の工場レイアウトを崩すことなく、短期間で導入可能です。
専門的な知識と経験が必要となるクリーンルームの設置にお悩みの方は、ぜひ間仕切.jpへお問い合わせください。豊富な実績と専門知識を持ったスタッフが、最適なご提案や設計、施工を一貫してサポートします。
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