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 近年、オフィス移転やリニューアルの際に、災害対策を意識したオフィスづくりが進んでいます。

いつ発生するかわからない災害に対し、企業として従業員の安全や事業継続を確保する上で、事前の備えは不可欠です。
特に見落とされがちなのが、防災用のトイレ備蓄です。地震や水害などでライフラインが寸断された場合、通常のトイレは使用できなくなり、衛生環境の悪化や健康被害につながるリスクがあります。従業員の安全と健康を守り、事業継続計画(BCP)を実効性のあるものにするためには、防災用トイレの確保が重要な課題となります。
本コラムでは、企業が備えておくべき防災用トイレの必要数や、選び方のポイント、そしておすすめの商品について詳しく解説します。災害への備えを見直すきっかけとして、ぜひご一読ください。

1.なぜ企業に防災用トイレの備蓄が必要なのか?

 そもそも、なぜ企業に防災用トイレの備蓄が必要なのでしょうか。ここでは、その必要性を3つのポイントから解説します。

従業員の安全と健康確保

企業に防災用トイレを備蓄する目的の一つに、従業員の安全や健康確保があります。

万が一災害が起きた際、オフィスや事業所は従業員の一時的な避難場所になる可能性が高いです。しかし、災害によって断水が起きたり下水道が破損したりすると、トイレが使用できなくなります。そのような状況で従業員がトイレを我慢し続けると、膀胱炎などの健康被害が生じる恐れがあります。

このような状況を防ぐためにも、企業が日頃から防災用トイレを備蓄しておくことが大切です。災害時に、従業員に対して適切なトイレ環境を提供できるように備えることで、従業員の健康確保につなげましょう。

事業継続計画(BCP)の実効性向上

事業継続計画(BCP)の観点からも、防災用トイレの備蓄が必要です。BCPとは「Business Continuity Plan」の略で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。

これは、自然災害(地震、台風など)、大火災、パンデミック、テロ攻撃、システム障害といった緊急事態が発生した際に、企業が事業資産の損害を最小限に抑え、中核となる事業を継続または早期に復旧させるための計画です。

万が一ライフラインが途絶えた場合、従業員がオフィスの事業復旧活動に専念するにはトイレ備蓄が必要不可欠です。防災用トイレが使用できる環境が整っていれば、従業員のモチベーションや作業効率も保ちやすくなります。その結果、従業員が事業継続計画に沿って行動しやすくなり、実効性が向上する可能性が高まります。

従来の防災対策が「人命と財産の保護」に重点を置くのに対し、BCPはそれに加えて「事業の継続」に焦点を当てている点が大きな特徴です。BCPを策定しておくことで、いざという時に混乱を最小限に抑え、迅速な対応が可能になります。

企業の社会的責任(CSR)と地域貢献

防災用トイレの備蓄は、企業の社会的責任(CSR)や地域貢献のためにも重要です。

大規模な災害で家屋倒壊や火災などが起きた場合、オフィスの建物が地域住民の一時的な避難スペースになる可能性があります。その際、避難者へ備蓄トイレを提供できるように備えておくと、地域社会に対する企業の社会的責任を果たせます。

また、企業が日頃から防災対策に進んで取り組んでいると、その姿を見た地域住民から好感度が高まって信頼獲得につながりやすいでしょう。

2.防災用トイレは何回分を備蓄すべき?

 企業が防災用トイレを備蓄する際は、何回分を目安にして用意すれば良いのでしょうか。ここでは備蓄数の算出方法や目安、具体的なシミュレーション例を紹介します。

基本的な算出方法と考え方

基本的に、防災用トイレの備蓄数は従業員数 × 1日の平均トイレ使用回数(5~7回/日) × 日数で算出します。

大規模な災害が発生した際、従業員や来客者が長時間オフィスで待機するケースも少なくありません。そのため、防災用トイレの備蓄数は、予想される来客数など余裕を持った人数で算出しましょう。

備蓄日数の目安:3日分以上

防災用トイレの備蓄数の目安は、ガイドラインで「3日間分」と定められています。(※)

これは、災害発生から3日間は人命救助活動を優先させる必要があるためです。一斉帰宅によって交通渋滞が生じると、必要な救助活動が妨げられてしまう可能性があります。このことから、従業員が社内に3日間待機可能な備蓄数を検討しましょう。

一般的に、災害時に上下水道が復旧する目標日数は30日程度です。しかし、都市部から離れた郊外やアクセスしにくい建物の場合は復旧に日数を要したり、仮設トイレの設置に時間がかかったりするケースもあるため注意しましょう。

※参考:東京都.「東京都帰宅困難者対策ハンドブック」.(参照2023-05)

備蓄量のシミュレーション例

ここでは、防災用トイレの具体的な備蓄数のシミュレーション例を2つ紹介します。どちらも、1日の平均トイレ回数を5回と想定した場合の備蓄数です。

1. 従業員50名のオフィスビルで、7日分の防災用トイレを用意する場合:
50名×7日×5回=合計1,750個

2. 1日の平均来客数が500名、従業員数50名の商業施設で、災害発生時に施設内で待機する来客数を10%(50名)として3日分の防災用トイレを用意する場合:
100名×3日×5回=合計1,500個

3.企業における防災用トイレの備蓄・管理体制のポイント

 企業が防災用トイレを備蓄・管理する際の体制は、どのようなポイントに気を付けると良いのでしょうか。ここでは、主なポイントを3つ解説します。

保管場所の選定

防災用トイレは適切な場所に保管しましょう。

防災用トイレは、万が一の災害時にアクセスしやすい場所に保管しておく必要があります。例えば、備蓄用品専用の倉庫や休憩室・会議室などの空きスペース、従業員のデスク下などです。高層ビルの場合は、エレベーターが使用できない場合に備え、複数のフロアに分散しておくと安心です。また、災害時に浸水や破損の可能性が低く、高温多湿を避けられる場所かどうかも確認しておきましょう。

保管後は、防災用トイレの使用期限を把握できるように管理し、定期的な品質確認や入れ替えなどを行うことも大切です。

従業員への周知と教育・訓練

防災用トイレを備蓄したら、従業員への周知や教育・訓練を行いましょう。

災害時に困らないように、定期的に社内で防災訓練を行い、防災用トイレの保管場所や種類、使い方などの情報をしっかりと周知しておくことが大切です。また、災害時のトイレ利用ルールを社内で定めておき、従業員と共有しておくことも大切です。

従業員一人ひとりが防災用トイレの使用方法や衛生的な処理方法を認知していると、災害時に慌てることなく行動ができます。

衛生用品・関連備品の同時備蓄

防災用トイレを管理する際は、衛生用品や関連備品も合わせて備蓄しておきましょう。

具体的な衛生用品には、トイレットペーパーやウェットティッシュ、消臭剤、ゴミ袋、消毒液、使い捨て手袋、生理用品などがあります。オフィスが断水すると手洗いもできなくなるため、トイレ後に使用できる消毒液や除菌タイプのウェットティッシュなども重宝します。手元を照らしてくれる懐中電灯やランタンなども、停電時に役立つので準備しておくと安心です。

4.企業の防災用トイレには「簡易式トイレ」がおすすめ

 企業の防災用トイレには電気や水なしで使用できる「簡易式トイレ」がおすすめです。

簡易式トイレとは、既存の洋式便器に被せて使う袋タイプのもので、吸水シートや凝固剤で水分を固めて廃棄する仕組みになっています。ッケージがコンパクトなものが多いため、限られたスペースでも多く備蓄しやすいのが特長です。

大規模災害時はごみ収集もストップしたり遅延したりする可能性が高いので、使用済みの汚物袋をオフィス内でまとめて保管しておく必要があります。誰がどのように管理するか、悪臭対策はどうするかなど事前にルールを決めて従業員に周知しておきましょう。

5.間仕切.jpがおすすめする防災用トイレ

 間仕切.jp運営のアイピック株式会社では、働くの空間創りに伴う企業の防災対策の備蓄品もご提供しております。ここでは、おすすめする防災用トイレを2つ紹介するので、企業の備蓄品の選定に役立ててください。

1.非常用簡易トイレ トイレのミカタ

おすすめの防災用トイレの一つは「非常用簡易トイレ トイレのミカタ」です。

この防災用トイレは使用後に凝固剤が素早く固まってゼリー状に変化します。アンモニア臭や大腸菌などの繁殖を抑制する消臭・抗菌効果もあるので、排泄物の嫌な臭いを抑えて清潔な環境を保ちやすいのが特徴です。

トイレのミカタには50回セットと100回セットの2種類があり、各セットには、使用済みの簡易トイレをまとめて処理できる処理袋が付いているため安心です。また、凝固剤は15年間程度保存可能なので、期限切れの備蓄品を入れ替える手間を省いてくれます。

2.BESToilet

もう一つのおすすめは「BESToilet」です。

この防災用トイレも、 トイレのミカタと同じく排泄袋を既存の便器に被せて使用するタイプです。付属の凝固剤を使って汚物を固めるので、臭いを防いで清潔な環境を保ってくれます。

BESToiletの凝固剤は、皮膚刺激性試験や傾向毒性試験済みで人体にも安全なものを使用しているのも特徴です。40回分が1セットで保存可能期間も10年程度と長いため、従業員数の多い企業の備蓄としてもおすすめです。

まとめ

 企業の防災対策は、トイレの備蓄を含めた対応を計画しておくことが大切です。

災害発生時には、従業員の健康維持や事業継続計画の実効性の向上、企業が持つ社会的責任の遂行などの観点から、適切なトイレ環境の確保が不可欠となります。そのため、各オフィスで必要な防災用トイレの備蓄数を算出したら適切な保管場所を選定し、万が一の状況に備えておきましょう。災害時は停電や断水が起こることも多いため、水や電気が不要な防災用トイレが適しています。

企業の防災用トイレ備蓄は、単に災害時の衛生環境を保つためだけではありません。それは、BCP(事業継続計画)の要であり、従業員の安全・健康を守るための最優先事項です。ライフラインが寸断された状況下でも、排泄を我慢することなく、適切な衛生環境を維持することは、体調不良やエコノミークラス症候群といった健康被害を防ぎ、従業員の心身の負担を軽減します。

こうした備えは、企業が従業員を大切にしている姿勢を示すことにもつながります。顧客や取引先からの信用を維持し、有事の際にも事業を継続できる「災害に強い企業」として、対外的な評価と競争力を高めることにも繋がります。防災用トイレの備蓄は、企業価値そのものを守る重要な投資と言えるでしょう。

防災月間の9月、企業向けの防災用備蓄の必須、簡易トイレ「トイレのミカタ」や「BESToilet」を是非ご検討ください。

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