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 いま界隈では「ポピュリズム」がクローズアップされています。もともとは政治の世界で使われてきた用語ですが、今後は様々な場面で影響を与え始めそうです。

ポピュリズムとは、一般的に「大衆迎合主義」と訳され、政治において、既成の権力構造やエリート層を批判し、一般市民に直接訴えかけることで支持を得ようとする政治姿勢のことです。より詳しく説明すると、ポピュリズムは以下の特徴を持つ政治運動や政治姿勢を指します。

  • ●支配的なエリートに対する反発
  • ●「普通の人々」こそが正義を持っているという信念
  • ●国民の声を直接的に政治に反映させるという志向

これをそのままオフィス空間に当てはめると、長年、経営層や管理職が一方的に決定していたレイアウトや設備環境から、現場で働く一人ひとりの声やニーズを取り入れた設計へとシフトする動きと重なります。つまり、「誰のための空間か?」という視点を改めて問い直す中で、ポピュリズム的なアプローチが空間設計に生きてくるのです。

このコラムでは、内装業の立場から、オフィスの設計がいかにして「従業員ファースト」へと進化しているのかを、空間の使い方やパーティションの活用事例を交えてご紹介していきます。ティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)との融合による新しい職場のあり方を、間仕切.jpが提案するパーティション活用事例とともに詳しく解説していきます。

1."島型オフィス"の終焉?ポピュリズム化する空間デザイン

 長らく日本企業で主流だった「島型オフィス」レイアウト。部署ごとに整然と並ぶデスク群は、かつてのピラミッド型組織と密接に結びついていました。しかし2025年の今、企業に求められるオフィス空間は大きく変わろうとしています。その象徴とも言えるのが、オフィス空間のポピュリズム化です。

かつてのオフィスでは、組織図に基づいたレイアウトや、上司の位置を中心に情報が回るような構造が常識でした。情報は会議で一方向的に共有され、机に座ってパソコンに向かう「読み書きそろばん」型の仕事が中心。ところが今、人々の仕事は「体験」「共有」「対話」へと変化しつつあります。

この流れは、世界的に進んでいる「アクティビティ・ベースド・ワーキング(ABW)」とも密接につながります。ABWとは、業務の内容に応じて、最適な場所を自分で選んで働くという概念。作業に集中するなら静かなエリア、コラボレーションならオープンスペース、アイデアを出すなら開放的なプロジェクトルーム、そして休憩時にはリラックスエリア。働く場所を目的に応じて自由に選べるABWは、従来の固定デスク型オフィスとは真逆の発想です。

この変化の背景には、GoogleやFacebookなど世界的企業が提示した「フラットで開かれた働き方」があります。彼らは、従来の命令・報告型組織ではなく、誰もが意見を出し合い、共に仮説を立て、対話を通じてアイデアを可視化・共有する文化を育てています。まさにこの「全員参加型」の空間づくりこそ、オフィスにおけるポピュリズムの具現化とも言えるでしょう。

間仕切りのパーティションで創る「多様性と対話の場」

オフィス空間のポピュリズム化において、間仕切りパーティションの役割は極めて重要です。従来のように空間を「完全に仕切る」のではなく、「ゆるやかにゾーニングし、選択の自由を提供する」ためのツールとして、現代のパーティションは進化しています。

例えば、音を遮断する高性能な吸音パネルで構成された会議室の間仕切りは、集中作業に最適。一方で、ガラス素材を使った透明性のあるパーティションは、部署間のコミュニケーションを促進するミーティングルームに適しており、視覚的な開放感を保ちつつ、話しやすい環境をつくります。

ABWでは、一人ひとりがその日の気分や業務内容に応じて最適な場所を選べる柔軟性が求められます。固定化された空間構成を可変化し、「空間の選択権を従業員に渡す」ことが、ポピュリズム的オフィスデザインの核です。

そのためにも、間仕切りは“固定構造物”ではなく、動かせる・追加できる・組み替えられるといった「流動性のあるパーツ」として設計される必要があります。私たち間仕切.jpでは、こうした現代的な価値観にマッチする可動式パーティションや吸音間仕切りを多数展開しています。

2.島型オフィスは“従来型”で終わらない——その本来の強みとは?

 「島型オフィス」と聞くと、やや古く、非効率的という印象を持つ人もいるかもしれません。

しかし、実はこのレイアウト形式には、現代でも十分に機能する明確なメリットがあります。島型オフィスとは、複数のデスクをグループ化し、向かい合って配置することで島(アイランド)を形成するオフィスレイアウトのこと。昭和から平成にかけての日本企業ではスタンダードな形式でしたが、その合理性は見直す価値があります。

まず、最大の利点は「情報共有とコミュニケーションのしやすさ」です。同じ島に所属するメンバー同士が常に視界に入り、顔を合わせやすい配置となっているため、ちょっとした確認や相談が気軽にでき、仕事の進行がスムーズになります。これは特に、営業部門やサポート部門、カスタマーサービスなど、スピード感が求められる業務には最適です。

また、部署単位でグルーピングされた島は、管理者にとってもメンバーの状況を把握しやすく、チーム単位の管理がしやすいという利点があります。プロジェクト型の働き方よりも、継続的な業務を安定してこなすスタイルに適しており、製造業やバックオフィス業務、官公庁などでも依然として多く採用されています。

さらに、島型オフィスはレイアウトの構築コストも比較的安価で済みます。固定席を基本とするため、個別のスペース設計やファニチャー投資が少なく、導入時の設計や運用もシンプルです。パーティションの活用次第では、一定の視線遮断や音環境の調整も可能で、集中と連携のバランスをうまく取ることもできます。

とはいえ、島型オフィスがすべての働き方に万能なわけではありません。高度な集中を要するクリエイティブな業務や、リモートワークとの併用を前提としたフレキシブルな働き方とは相性が悪いケースもあります。そのため、島型オフィスの本来のメリットを理解したうえで、業態や企業文化に応じた適材適所のレイアウト選びが重要です。

従来型とされがちな島型オフィスも、今なお一定の合理性と実用性を兼ね備えているレイアウト形式です。単なる“時代遅れ”と切り捨てるのではなく、その構造が持つ「密な協働性」と「運用のしやすさ」にこそ注目すべきでしょう。

3.ABWとポピュリズムが融合する「共創の場」へ

 ポピュリズムとは、もともと「大衆の声を反映する」という政治的概念ですが、空間設計においては、「すべての従業員にとって居心地よく、創造的に働ける場をつくること」を意味します。

まさにこの考え方と一致するのが、ABWの理念です。オフィス空間におけるポピュリズムとは、「一律のレイアウト」から「選択できる自由」へと価値観がシフトしたことを意味します。働く人の自律性関係性の再構築が、イノベーション創出のカギとなっているのです。

ABWを支える4つの空間とパーティション活用

以下に、ABWにおいてポピュリズム的設計を可能にする代表的な4つの空間要素と、それに合致する間仕切りの提案を示します。

  1. パーソナルワークブース:集中のための静寂な個室
  • ・適した間仕切り:吸音パネル付きパーテーション、防音仕様のワークブース
  • <目的>:集中力が求められるタスク向け
  • <特徴>:個人作業に特化したミニマルで静かな空間を演出

2. コラボレーションエリア:対話と共有が生まれる場

  • ・適した間仕切り:透明性を感じさせるガラスパーティションやローパーティションによる緩やかな間仕切りスペース
  • <目的>:チームのブレストや会話が活性化される開放的なエリア
  • <特徴>:閉塞感を出さず、必要に応じて空間を分けられる柔軟性

3. カンファレンスルーム:一体感を生む会議室

  • ・適した間仕切り:フルパネル型の可動式間仕切りで部屋化できるタイプ
  • <目的>:特定案件の集中的なプロジェクト協議に対応
  • <特徴>:一時的な会議室や専用ルームとして、使用する人数によりスペースの拡縮も可能

4. リラックスエリア:創造力を育む休憩室

  • 適した間仕切り:木目調やファブリック素材を使った温かみある間仕切り
  • <目的>:心身のリフレッシュ
  • <特徴>:休憩やカジュアルなコミュニケーションを促進する「抜け」のある場所

こうした多様な空間要素を「構成し、緩やかに仕切る」存在として、間仕切りはまさにポピュリズム的設計思想の要です。

4.従業員の“声”をオフィスデザインに生かす「共創経営」

 いま従業員のワークスタイルや業務内容を丁寧にヒアリングしながら空間をデザインするボトムアップ型設計が注目されています。これこそ、オフィス空間のポピュリズム化です。私たち間仕切.jpでは、「誰のための空間か?」を常に問い続ける姿勢を大切にしています。ヒアリング→設計→施工→改善提案まで一貫して直販スタイルで対応することで、現場のニーズと空間デザインのギャップを限りなくゼロに近づけています。

従業員満足度(ES)の向上 → 離職率の低下・採用力の強化

従業員が意見を反映できる環境づくりは、企業が「自分たちの声に耳を傾けてくれる」と感じる大きなきっかけになります。それは満足度・エンゲージメントの向上につながり、結果として優秀な人材の流出を防ぎます。また、働きやすいオフィス環境が整っていることは、求人時の大きなアピールポイントにもなります。

生産性の向上

例えば「集中できる静かなスペースが欲しい」「立って打ち合わせしたい」など、従業員が業務中に感じている“ちょっとした不満”を解消することで、業務効率が格段に上がることがあります。現場の声を反映したデザインは、経営者が想像する以上に生産性に直結します。

組織コミュニケーションの活性化

オフィスレイアウトを見直すことで、部署間の壁が減ったり、自然なコミュニケーションが生まれやすくなる配置になることも。従業員の声から導き出される「居心地のよさ」や「ちょうどいい距離感」は、チームワークを育て、業務連携をスムーズにします。

経営層と現場の信頼関係強化

デザインに意見が反映されたことを従業員が実感できると、「自分たちの声が経営に届いている」という信頼感が生まれます。これは単なるオフィス改善以上に、企業文化や風土の改善につながる可能性があります。

企業イメージ・ブランディングの強化

従業員のリアルな声を反映したオフィスは、見た目のデザイン性だけでなく、「中身が伴った職場」として外部に伝わります。これにより、顧客や取引先からの評価が上がるだけでなく、メディア露出やSNS発信などのブランディングにも効果的です。

まとめ|2025年の理想のオフィスは「可変・共創・共感」の従業員ファーストな空間

 2025年現在、理想とされるオフィス空間は、単なる作業場ではなく、従業員一人ひとりが主役となり、柔軟に選択し、共に創造し、相互に共感できる場です。そこでは固定化された席や上下関係に縛られることなく、働く人が自らの意思で場所や方法を選べる「可変性」が求められます。また、チームや部門の垣根を越えた共創的な活動が日常的に起きるような設計が重要です。

単にオフィスを“キレイにする”のではなく、従業員が本当に使いやすい、居心地の良い環境にすることは、企業にとっての長期的な投資効果をもたらします。経営層の意思と現場の実感がリンクするオフィスデザインは、強い組織づくりの土台となります。

ABWの導入は、その一例です。多様な空間が準備され、各エリアにはパーティションや素材、照明、音環境などが最適化されており、従業員はその日の業務内容や気分に応じて最適な場所を選ぶことができます。この選択の自由が、自律的な働き方を後押しし、エンゲージメントの向上やウェルビーイングの充実にもつながります。

さらに、ABWとポピュリズム的視点の融合により、オフィス空間そのものが「対話の場」「価値創造の場」「組織文化の発信地」として機能しはじめています。従業員の声を尊重し、空間づくりに反映するプロセスは、「空間の民主化」とも言えるでしょう。これにより、すべての働き手が自己効力感を持ち、相互に支え合うことのできる文化が醸成されるのです。

私たちは今あらためて、単なる効率性やコスト最適化ではなく、働く人が中心の空間設計が求められる時代にきていそうです。「可変・共創・共感」をキーワードに、すべての従業員が働きやすく、成長できるオフィス環境の構築こそが、企業にとっての持続可能な競争力を生むのです。

間仕切.jpでは、パーティションメーカー直販ならではのコストパフォーマンスと、実績に基づいた施工ノウハウを活かし、内装工事業者様や設計デザイン業者様など、オフィス構築の様々な支援会社様と連携しながら、未来志向のオフィス設計をご提案いたします。

企業グロースと従業員エンゲージの両軸を見据えたオフィス構築なら、ぜひ一度、間仕切.jpにご相談ください。

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