目次

1.鋼材とは

 鋼材とは、鉄(Fe)を主成分とし、炭素(C)やその他の元素を添加して作られる合金の総称です。

鋼材は、強度、硬度、耐久性、加工性などの特性を調整できるため、建設、機械、造船、自動車、家庭用品など、幅広い分野で使用されています。

鋼材の用途は非常に多岐にわたります。建設業界では、ビルや橋梁の骨組みとして使われる構造用鋼材、自動車産業では、車体フレームやエンジン部品として使用されます。また、家庭用品や電化製品、インフラ整備、造船など、鋼材は日常生活のあらゆる場面で重要な役割を果たしています。

鋼材は、その多様な特性と応用範囲の広さから、現代社会の基盤を支える重要な材料です。技術の進歩とともに、新しい鋼材の開発や製造技術の改良が続けられ、その可能性はますます広がっています。

鋼材価格も、需給バランスの変化や環境政策、地政学的リスクなどが引き続き価格に影響を与えています。

 

2.世界的な鋼材価格高騰の要因

 現在の鋼材価格の高騰は複数の要因が絡み合っています。

まず、新型コロナウイルスのパンデミックによる供給チェーンの混乱が挙げられます。パンデミックの影響で製造業が一時的に停止したり、物流が遅延したりしたことが、鋼材の供給不足を引き起こしました。これにより、需要が供給を上回る状況が生まれ、価格が上昇しました。

さらに、中国の環境規制強化も鋼材価格高騰の一因です。中国は世界最大の鋼材生産国であり、同国の環境対策強化により鋼材生産が制約されました。これにより、供給量が減少し、価格が上昇する結果となりました。

また、建設業や自動車産業など主要な消費セクターでの需要増加も価格高騰を後押ししました。特に、各国政府がコロナ禍からの経済復興を目指してインフラ投資を拡大したことが、鋼材需要の急増を招きました。

3.パーティションに使用される主な鋼材の種類と特徴

 内装間仕切りに使用される主な鋼材には、冷間圧延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合金板の3つがあります。これらの鋼材はそれぞれ異なる特性を持ち、内装間仕切りの用途に応じて選ばれます。

冷間圧延鋼板

熱間圧延された鋼材をさらに冷間で圧延することで、より高い強度と優れた表面仕上げを実現します。この鋼板は、内装間仕切りの骨組みや構造部分に使用されることが多く、耐久性と強度が求められる場面で使用されます。

溶融亜鉛めっき鋼板

鋼板を亜鉛の溶融浴に浸すことで、表面に亜鉛の保護層を形成したものです。このプロセスにより、鋼板は錆びにくくなり、耐食性が向上します。内装間仕切りでは、湿度の高い環境や長期間の耐久性が求められる場所で使用されます。

アルミニウム合金板

軽量で耐食性に優れた素材です。アルミニウムは鉄や亜鉛よりも軽く、取り扱いやすいため、内装間仕切りのパネルやドアなどに使用されることが多いです。また、アルミニウムはリサイクル性が高く、環境負荷の低減にも貢献します。

4.鋼材価格の推移と現状

 鋼材価格は過去数年間で大きな変動を見せました。特に、2020年以降のコロナ禍により、供給チェーンの混乱と需要の急増が価格に大きな影響を与えました。2020年初頭には、パンデミックの影響で鋼材の需要が一時的に低迷しましたが、各国政府の経済対策やインフラ投資の拡大により、需要が急速に回復しました。

2021年には、中国の環境規制強化や製造業の回復による需要増加が重なり、鋼材価格は急騰しました。冷間圧延鋼板や溶融亜鉛めっき鋼板の価格も同様に上昇し、建設業や製造業に影響を与えました。アルミニウム合金板も、供給不足と需要増加により価格が上昇しました。

2022年以降も、鋼材価格は高止まりの傾向が続いています。供給側の問題や地政学的リスク、物流の混乱などが依然として価格に影響を与えています。特に、ウクライナ紛争やエネルギー価格の高騰が、鋼材生産コストを押し上げ、価格上昇の要因となっています。

5.2024年現在と今後の見通し

 2024年の鉄鋼価格は、世界的な経済動向や需要供給のバランスによって大きく変動する可能性があります。特に、中国の経済対策や国際情勢が大きな影響を与える要因となります。

中国の経済動向と鉄鋼価格

経済対策と景気回復: 中国政府が経済対策を講じて景気が上向けば、鉄鋼製品の需要が高まり、価格上昇の要因となるでしょう。中国は世界最大の鉄鋼生産国であり、国内のインフラ投資や製造業の拡大が鉄鋼需要を押し上げる可能性があります。

構造的移行とリスク: 一方で、中国経済は現在、成長から持続可能な発展への構造的移行期にあります。これは、一部の製造業からサービス業へのシフトを含み、鉄鋼需要が減少するリスクを伴います。さらに、不動産市場の調整や地方政府の財政問題も鉄鋼需要に影響を与える可能性があります。

国際情勢と原油価格の影響

地政学的リスク: ロシア・ウクライナ紛争やイスラエル・パレスチナ問題など、地政学的リスクが原油価格を押し上げる要因となることがあります。原油価格が上昇すると、鉄鋼生産コストも増加し、最終的に鉄鋼価格が上昇する可能性があります。

経済的分断: 国際的な経済的分断が進むと、貿易摩擦や関税の引き上げなどが発生し、鉄鋼の需要に悪影響を与えることがあります。これにより、鉄鋼価格が下落するリスクも存在します。

国内需要の見通し

建築部門: 国内の建築部門では、住宅価格の高止まりや購買意欲の低下により、住宅着工が減少すると見られます。また、非住宅部門でも人手不足が続くことが予想されており、これが鋼材需要の減少要因となります。

製造業: 製造業における鉄鋼需要は部門ごとに異なります。造船部門や機械部門では、人手不足もあり需要は前年並みで推移すると予想されます。一方、自動車部門では、受注残の解消に伴い需要が増加する見込みです。特に、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など新エネルギー車の需要増加が、鉄鋼需要を押し上げる要因となります。

価格の見通しと対応策

価格の見通し: 2024年の鉄鋼価格は、中国の経済対策がどれほど効果を発揮するか、国際的な地政学的リスクがどの程度影響を与えるかによって大きく変動する可能性があります。需給バランスの変化やエネルギーコストの動向も注視する必要があります。

対応策: 鉄鋼業界や関連企業は、価格変動に対して柔軟に対応するための戦略を講じる必要があります。例えば、在庫管理の最適化や調達先の多様化、エネルギー効率の向上などが考えられます。また、技術革新や新製品の開発に投資することで、市場の変動に対する競争力を高めることも重要です。

2024年の鉄鋼価格は多くの不確実な要素に影響を受けるため、業界全体でリスク管理と柔軟な対応が求められます。企業は、経済動向や市場の変化を常に注視し、適切な戦略を策定することが必要です。

「世界経済は、欧米の景気下振れリスクの軽減、一部東南アジア諸国の内需・輸出の回復、インドの堅調持続等により、緩やかながらも成長への回帰が窺われている。一方、インフレ再燃リスク、低迷が続く中国経済の動向に加えて、欧州諸国の政情変化を受けた金融・財政政策の変動の可能性等に対しても注視が必要となっている。5 月の世界の粗鋼生産(推計含む)は、インドでの生産増が続くほか、中国が 23 年 7 月以来の 9,000 万トン台となったこともあり、前年同月比+1.5%の 1 億 6,511 万トンと 3 ヵ月ぶりの前年比増となった。中国材の極めて高水準の輸出が継続する中、世界各地で通商摩擦の懸念、救済措置発動に対する警戒感が一段と高まっている。」

引用:https://www.jisf.or.jp/data/index.html

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