目次

1.内装工事の発注方式は、「設計施工分離発注方式」と「設計施工一括発注方式」がある

 内装工事には多くの専門業者が関わります。

複数の専門業種の業者が連携して、内装工事を進め、お客様の希望に応じた空間を作り上げていくわけですが、案件プロジェクトの規模や目的、予算、スケジュールなど、ニーズに対応するために大きくは、「設計施工分離発注方式」と「設計施工一括発注方式」のふたつがあります。

設計施工分離発注方式は、「設計監理方式」ともいわれ、設計施工一括発注方式は、「責任施工方式」とも表現されます。

このコラムでは「設計施工分離発注方式」と「設計施工一括発注方式」に関して、それぞれを説明比較いたします。内装工事業者を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

2.設計施工分離発注方式(=設計監理方式)とは

 設計施工分離発注方式(設計監理方式)とは、発注者が、デザイン・設計・監理の業務と施工を行なう会社を別々にする発注形態です。

一般的に「分離発注方式」または「分業方式」と呼ばれます。 この方式は、設計と施工が独立しているのが特徴で、設計と施工を分けて発注するため、責任の所在とプロジェクト管理の仕組みが違います。プロジェクトの各フェーズで専門性を活かし、品質やコストの管理を徹底するための方法です。

これは、かつて公共事業において、昭和34年(1959年)に国土交通省事務次官通達により、「設計施工の分離の原則」が明確化された背景によります。この原則は、設計と施工を別々の企業が実施することで、複数のメリットをもたらすことを目的としていました。

具体的には、以下のような効果が期待されていました。

  • 価格の透明性:設計と施工が異なる企業によって行われることで、コスト見積もりや価格設定がより明確になり、不正なコストの上乗せや隠れた費用が排除されることが期待されました。
  • 品質の確保:専門性の高い設計者と施工業者がそれぞれの役割を果たすことで、設計段階から施工段階に至るまで高い品質が確保されることが狙いでした。
  • コスト管理の向上:設計と施工を分離することで、予算管理がより厳格に行われ、予算内での工事実施が容易になりました。また、独立した設計者が適切なコスト評価を行うことで、予算超過を防ぐ効果も期待されました。

このように、設計施工の分離の原則は、公共事業において価格の透明性、品質の確保、コスト管理の向上を図るための基本方針として重要な役割を果たしてきました。

設計施工分離発注方式(=設計監理方式)は、デザイン性やコスト管理など、こだわりたい要素に重きを置きたい場合の案件を行う場合に向いていると言われています。

3.設計施工一括発注方式(=責任施工方式)とは

 一方で、設計施工一括発注方式(責任施工方式)は、1つの会社が設計から施工までを一貫して行なう発注形態です。

この方式では、発注者が設計と施工を同じ企業に依頼し、その企業がプロジェクトの全工程を担当します。

例えば、公共施設やインフラの建設などでよく採用されています。大規模な工事や複雑な設計を必要とする場合、設計から施工まで一貫して対応できる高い専門性が求められます。一括発注方式では、これを一つの企業内で効率的に活用できるため、工事全体の成功率が高まるという理由から、設計施工一括発注方式は大規模案件や複雑な設計が求められる工事に適しているといわれています。

ただし、小規模工事には向いていないかといえば、そういうことではなく、工期が短い工事や継続した品質管理が求められる工事にも適正があります。

4.分離発注方式(=設計監理方式)と「一括発注方式(=責任施工方式)」のメリット・デメリット

 設計施工分離発注方式と設計施工一括発注方式には、それぞれ特有のメリットと手続きが存在します。

各方式の特性を理解し、適切な発注方式を選択することが求められます。

設計施工分離発注方式(=設計監理方式)のメリット・デメリット

メリット:

  1. 品質確保: 設計と施工が独立しているため、それぞれの業者が専門性を活かして高品質な仕事を提供できます。
  2. 価格の透明性: 設計段階と施工段階で独立した見積もりが行われるため、コストが明確になります。
  3. 責任の明確化: 設計ミスや施工不良が発生した場合、それぞれの業者の責任が明確であり、問題解決がしやすいです。

デメリット:

  1. コストと時間: 分離発注は調整費用や中間管理コストが増加するため、コストが高くなる可能性があります。また、調整に時間がかかることもあります。
  2. コミュニケーションの難しさ: 設計者と施工者が別々の企業であるため、コミュニケーションが複雑になり、誤解が生じやすくなります。

一括発注方式(=責任施工方式)のメリット・デメリット

メリット:

  1. 効率的なプロジェクト管理: 設計と施工が同じ会社により一貫して行われるため、プロジェクトの進行がスムーズで効率的です。
  2. コスト削減: 調整費用や中間管理コストが削減されるため、コストが抑えられることがあります。
  3. 統一性: 設計から施工まで一貫した管理が行えるため、プロジェクト全体の統一感が保たれます。

デメリット:

  1. 責任の集中: すべての責任が一つの企業に集中するため、万が一問題が発生した場合、その企業に対する依存度が高くなります。
  2. 選定の難しさ: 設計と施工の両方を高いレベルで行える企業を選定することが難しい場合があります。
  3. 競争の欠如: 一括発注により競争が減少し、価格や品質の競争力が低下する可能性があります。

これらのメリット・デメリットを考慮して、プロジェクトの特性や要求に応じて最適な発注方式を選択することが重要です。どちらの方式が適しているかは、プロジェクトの規模や複雑さ、予算やスケジュールなどによって異なります。

方式メリットデメリット
設計施工分離発注方式(=設計監理方式)・品質確保: 専門業者による高品質なサービスが得られる
・価格の透明性: コストが明確になる
・責任の明確化: 問題解決が容易
・コストと時間: 調整費用や中間管理コストが増加
・コミュニケーションの難しさ: 誤解が生じやすい
一括発注方式(=責任施工方式)・効率的なプロジェクト管理: スムーズで効率的
・コスト削減: 調整費用や中間管理コストの削減
・統一性: デザインや機能の統一感が図りやすい。
・責任の集中: 依存度が高くなる
・選定の難しさ: 適切な企業選定が困難
・競争の欠如: 競争力低下の可能性

この表で、両方式の特徴を比較しやすくなると思います。それぞれのプロジェクトの特性に応じて、最適な方式を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。


5.間仕切.jpはどちらの発注方式にも対応できます

 どちらを選ぶべきかは、工事内容もさることながら、その工事において、発注者が何を優先したいのか?に依るところが大きいでしょう。

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