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 オフィスの移転や退去の実務を担当することになり、賃貸借契約書や工事業者からの見積書を見ていると「原状回復」や「現状復帰」という言葉が出てきて、戸惑っていませんか?

「どちらも元の状態に戻すことだろうけれど、何が違うの?」と疑問に思う方も多いはずです。結論から言うと、不動産の賃貸契約において法的に正しい用語は「原状回復」です。

本記事では、年間多数のオフィス空間づくりやパーテーション施工を手掛けるアイピック株式会社が、この2つの言葉の決定的な違いや、オフィス退去時(特にパーテーションの撤去・廃棄)の注意点について分かりやすく解説します。

1. 「原状回復」と「現状復帰」の決定的な違い

言葉の響きは似ていますが、使われるシーンや意味合いに明確な違いがあります。

結論からいうと、不動産用語で現状復帰、現状回復という言葉が「原状」と同じ意味で使われている場合がありますが、それは間違いです。「原状回復」が法律用語上においても、工事関係で正しい用語です。

「原状回復」とは(不動産・法律用語)

原状回復(げんじょうかいふく)とは、「入居時(契約時)の元の状態に戻すこと」を指します。 賃貸借契約において借り主(テナント)に課せられる法的な義務であり、民法などの法律用語としても使われます。オフィスや店舗の退去時に、後から設置したパーテーション(間仕切り)を撤去したり、汚れた壁紙や床をきれいに修繕したりする工事は、すべてこの「原状回復工事」に該当します。

「現状復帰」とは(建築・ITなどの一般用語)

現状復帰(げんじょうふっき)とは、「(トラブルなどが起きる前の)直前の状態に戻すこと」を指します。 こちらは法律用語ではなく、日常会話や特定の業界で使われる一般的な表現です。例えば、建設現場で「工事のために一時的に外した柵を、今日の作業が終わったら元に戻しておく(現状復帰する)」といった使われ方や、IT業界で「システムのエラーが起きたので、バックアップを使ってバグ発生前の状態に戻す(現状復帰する)」といった場面で使われます。

不動産の賃貸借契約における「原状復帰」とは、賃借人(借主)が退去する際に、借りた物件を契約初期の状態、つまり元の状態に戻すことを指します。オフィステナントは入居時に、スケルトンの物件にパーテーションを設置したり造作工事を施します。そして、移転退去する際に、すべての造作物を撤去し、物件を元の状態に戻すのが「原状復帰」工事です。

2.「現状回復」とは、誤表記

 「現状回復」という表記が工事現場や契約書面に用いられていた場合、不動産・建設会社の担当者が「原状回復」と打つべきところを、単に入力変換ミスしたか、業務経験の浅い担当者のリテラシー不足が原因と思われます。

3.工事関係者の専門用語「原状復帰」

 「原状回復」は、民法および不動産会社が交付する賃貸借契約書に記載される借主の義務であるのに対し、「原状復帰」はテナント退去時に職人が工作物を解体・撤去する工事そのものを指すことが多い用語です。

建設会社や解体工事業者などが「原状復帰工事」や「原状復帰させる」といったように、社内や工事現場で用いる場合が多いです。

4.「現状復帰」も誤表記

 「現状復帰」も、先に説明した同様の理由で、誤った表記となります。

経営者や担当者は、正しい用語は「原状回復」および「原状復帰」であることを覚えておけば大丈夫です。

5. オフィスや店舗の退去時に使われるのはどっち?

 オフィスの移転や店舗の退去に伴う工事においては、**「原状回復」**を使うのが正解です。

賃貸借契約書には必ず「原状回復義務」についての条項が記載されています。どこまでを元の状態に戻す必要があるのか(スケルトン状態にするのか、後付けのパーテーションや造作物を撤去するだけで良いのか)は、契約内容によって大きく異なるため、事前に貸主(ビル管理会社やオーナー)としっかり確認することがトラブル防止の鍵となります。

6.物件退去時に必要不可欠な原状回復

 原状回復は、民法621条に明記されています。

(賃借人の原状回復義務)

第六百二十一条 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

ただし、通常使用による損耗や経年変化した部分の原状回復義務を免れるのは、個人が住宅として借りていた場合であり、法人などがオフィスとして借りていた場合は、通常使用による損耗、汚損も「特約に基づき借主が元(賃借開始時)の状態に戻すべき」と裁判所が判断されていることに注意が必要です。

そのため、オフィス物件の賃貸借契約書には、通常「引き渡し時に存在しなかった工作物は100%借主負担で全撤去」といった内容が特約として盛り込まれているはずです。

経営者や担当者は、賃貸借契約時に特に原状回復に関する特約の内容をよく確認しておく必要があります。

7.内装工事専門業者が説明する原状復帰工事項目

 個々の物件により異なりますが、入居時の内装仕上げ工事は通常、順序よくきちんと施工されていますので、基本的にはその「逆再生」をしていくのが、原状復帰工事の手順です。

● パーテーションなどの間仕切り壁や造作物の解体と撤去

● 天井の照明器具、壁紙、床カーペット類の撤去

● 電気配線などの撤去

● クリーニング

以上がオフィスの場合の原状復帰の基本項目です。

8.内装工事専門業者が説明する原状復帰工事の内容

・パーテーション間仕切り壁など造作物の解体と撤去

まずは目に見える部分、契約時のスケルトン状態に加えた、造作物のパーテーション、カウンター、ドア、棚などがあれば、それらを解体し、撤去します。解体と撤去は想像以上に大きな音が立ちやすい作業ですので、階上、階下、同フロアに入居している他のテナントに迷惑をかけないよう、管理会社との日程・時間帯調整が欠かせません。

・天井の照明器具、壁紙、床カーペット類の撤去

自分たちで選んで設置したものがあれば、天井の造作物や照明器具を外し、壁紙や窓ガラスなどに施したフィルム、床カーペットもキレイに剥がし、漏れなく撤去していきます。物件によっては塗装や再度の壁紙を施して天井や壁の原状回復を図らなければなりませんので、その工事も発生します。

・電気配線などの撤去

OAフロアやOAタップによる電気配線、電話線、LANケーブルの他、稀に給排水設備も入居時に敷設していた場合は、それらもすべて取り去り、処分します。

・最終のクリーニング

特約に明記されている汚損している箇所が認められた場合や、原状回復工事後のクリーニングも必要です。

9.退去する借主側の原状復帰の工事区分とは

 工事区分とは、入居工事や原状回復の際に、どの部分の工事を誰が業者に発注し、誰がその工事費用を支払うのかを細かく分けたものです。通常、ビルオーナーがこの区分を決定します。

具体的には、契約書、特に原状回復に関する条項に基づき、借主側が担当する工事の範囲が定められます。

オフィスビルの場合、以下のような区分が一般的に設けられています。

  • A工事: 共用部含む建物全体
    • 発注者・費用負担: 貸主
    • 業者選定・手配: 貸主
  • B工事: 設備
    • 発注者・費用負担: 借主
    • 業者選定・手配: 貸主
  • C工事: 各部屋
    • 発注者・費用負担: 借主
    • 業者選定・手配: 借主

原状復帰工事は、上記の区分で言うとC工事に該当します。これは借主が発注者となり、業者の手配から工事の依頼まで、全て自ら行う必要があります。

10.原状復帰工事の期間と費用の相場

 移転前のオフィスの広さや造作物の数によって、原状復帰工事の所要時間とコストは大きく異なります。一般的な目安を以下に示しますが、実際の物件や条件によって異なる場合があります。

  • 50坪ほどの小規模なオフィス
    • 工期: 10営業日前後
    • 費用: 100万円から250万円程度
  • 100坪ほどの標準的なオフィス
    • 工期: 20営業日前後
    • 費用: 200万円から500万円程度
  • 100坪を超える広いオフィス
    • 工期: 20営業日以上(具体的な期間は物件の状況による)
    • 費用: 500万円から1000万円程度

これらの数値は一般的なケースであり、具体的な条件によっては異なる場合があります。特に広いオフィスや多くの造作物がある場合は、より長い工期と高い費用が必要になることが多いです。

11. 【プロが解説】オフィス退去時の「パーテーション撤去」の注意点

 オフィスの原状回復工事において、「後から設置したパーテーション(間仕切り)の取り扱い」です。以下の点に注意して手配を進めましょう。

  • 専門業者による解体が必要 アルミパーテーションやスチールパーテーション、スライディングウォール(可動間仕切り)などは、安全かつ壁や天井を傷つけずに解体・撤去するために専門的な知識が必要です。
  • 産業廃棄物としての適切な処理 不要になったパーテーションは粗大ごみではなく「産業廃棄物」となります。マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行できる適切な業者による処理が法律で義務付けられています。
  • 【重要】新オフィスへの「移設」ができるケースも! 実は、現在お使いのパーテーションは、状態や規格によっては移転先の新しいオフィスへ持ち込んで再利用(移設)することが可能です。すべてを廃棄して新品を購入するよりも、コストを大幅に削減できる場合があります。

不動産用語で現状復帰、現状回復という言葉が「原状」と同じ意味で使われている場合がありますが、それは間違いです。「原状回復」が法律用語上においても、工事関係で正しい用語です。

まとめ|オフィスの移転・レイアウト変更は間仕切.jpにお任せください!

 オフィスの退去(原状回復)の準備と並行して、「新しい移転先のレイアウト」や「施工業者の手配」を進めるのは、担当者様にとって非常に負担の大きい業務です。

間仕切.jp運営のアイピック株式会社なら、メーカー直結の強みを活かし、お客様の移転プロジェクトをワンストップでサポートいたします。

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  • 新オフィスでの高品質なパーテーション施工(アルミ・スチール・ガラス・スライディングウォール等)
  • ●担当者様を悩ませる消防署への「防火対象物使用開始届」などの煩雑な手続きサポート

「機能的なオフィスのレイアウト設計」デザイン性の高い内装にしたい」といったご要望から、面倒な撤去・手続きまで、まずはお気軽にご相談ください。

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