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 オフィスの内装工事を行う際、壁面を美しく仕上げる目的で使用するのがリアテックシートやダイノックシートです。

どちらも仕上げに使用するため、「シートの違いが分からない」「選ぶ際の決め手を知りたい」といった方も少なくないでしょう。それぞれのシートの特徴を知ると、オフィスの内装をデザインする際に生かせます。

本記事では、リアテックシートとダイノックシートの違いや特徴、貼り方などを紹介します。内装工事でリアテックシートやダイノックシートの使用を検討している方は、本記事を読んで違いを理解した上で選定しましょう。

1.リアテックシートとは

 リアテックシートは、天然素材の質感をリアルに再現した粘着剤付化粧フィルムです。

リアテックシートは基本的に、デザインがプリントされた塩化ビニル樹脂、エア・スルー加工粘着剤、剥離紙の3層構造で作られているシートです。本物と見間違えるほどの高いデザイン性を持つリアテックシートは、天然木の風合いを追求した「リアルウッド」や、金属の輝きを表現したメタリックカラーなど、豊富なデザインから選定できます。他にも、抗菌・防カビ加工を施した浴室用シートなど、機能性にも優れた幅広いバリエーションがあるのも特徴です。

リアテックシートはその美しい見た目から、壁やドア、柱、金属下地など、さまざまな場所の仕上げ材に選ばれています。素材やデザインによって価格に差はありますが、リアテックシートを活用すると、コストや構造上の制約があっても理想的な空間に仕上げられるでしょう。

内装材の種類

内装材は、建物の内部を構成する重要な素材で、主に「仕上げ材」と「下地材」の2種類に分類されます。

仕上げ材は、壁紙や床のフローリングタイルなど、目に見えやすい部分に使用される素材です。一般的に建築デザイナーが、演出したい空間の印象やデザインに合うものを選定します。

一方、下地材は床や天井、壁の基礎部分に使用される素材です。内装工事を行う際に、施工業者が仕上げ材のベースになる下地材の取り付けを行うことで、耐久性のあるオフィス空間を作ります。

床の仕上げ材

一般的な床の仕上げ材には、以下の4つの素材があります。それぞれ異なる特徴を持つ素材なので、用途に適したものを選びましょう。

・フローリング:
フローリングには、複数の薄板を組み合わせた「複合タイプ」と、一枚板から作られる「無垢タイプ」の2種類があります。樹種やタイプによって色味や肌触りなどが異なります。

・クッションフロア:
クッションフロアはビニールシート素材から作られており、設置が容易で水に強く、簡単に掃除ができるのが特徴です。色やデザインが豊富なので、気に入ったものを見つけやすいでしょう。

・フロアタイル:
フロアタイルは、天然石や大理石、セラミックなどの素材を使用した格調高い印象を与える床材です。特に、高級感を演出したいオフィスに適しています。

・カーペット:
カーペットは近年、採用される機会が減っていましたが独自の利点がある素材として見直されつつある床材です。繊維の柔らかさや滑り止め効果などが特徴です。

天井や壁の仕上げ材

天井や壁に使用される仕上げ材には、以下のものがあります。デザインや耐久性など、こだわりたいポイントから選びましょう。

・ビニールクロス:
ビニールクロスは普及率の高い仕上げ材で、塩化ビニル樹脂で作られています。デザインが豊富で掃除しやすく、耐久性に優れているメリットがある反面、剥がれやすく結露しやすいデメリットも持ち合わせています。

・織物クロス:
織物クロスは、合成繊維を使って作られた仕上げ材です。素材に温かみが感じられ、調湿性や通気性にも優れているのがメリットです。しかし、ほこりを吸いやすいので、小まめな掃除を必要とします。

・化粧塩ビシート:
手軽に使いやすい素材で、さまざまな質感のデザインが再現できるのが化粧塩ビシートの特徴です。木材やしっくいなどに似た質感を、コストを抑えて実現できます。

・珪藻土:
珪藻土は近年注目を集めている素材で、植物プランクトンが化石化してできた泥土から作られています。主成分はケイ酸質で、表面に多くの超微細な穴があるため、調湿性や断熱性に優れているのが特徴です。室内の空気清浄も期待できるなどメリットが多いですが、職人が施工する塗り壁なため、施行コストが高めです。

2.ダイノックシートとは

 ダイノックシートは、リアテックシートと並ぶ代表的な粘着剤付化粧フィルムです。このフィルムは、さまざまなデザインで多くのメーカーから販売されています。

建築デザイナーからの人気のポイントは、デザインのバリエーションの豊富さです。また施工業者からは、傷や汚れに強く、防水性や耐候性に優れている点が高く評価されています。

このように、ダイノックシートを使用すると、内装工事の長期的な美観維持を可能にしてくれます。

3.リアテックシートとダイノックシートの違い

リアテックシートとダイノックシートは、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。ここでは双方の違いを詳しく見ていきましょう。

販売するメーカー

リアテックシートとダイノックシートの違いの一つは、異なるメーカーから販売されている点です。

リアテックシートは、カーテンや壁紙などの室内装飾材を主に扱うインテリア専門メーカーから、粘着剤付きの化粧フィルムとして展開されています。

一方、ダイノックシートは、建築資材全般を取り扱う総合建材メーカーが販売しており、化粧フィルム製品の一つとして扱われているのが主な違いです。

種類

リアテックシートとダイノックシートの種類には、以下のような違いがあります。

リアテックシートの種類

リアテックシートは、機能性シートから装飾用まで、850種類を超える豊富なラインアップを誇ります。

特に木目シリーズは、価格帯別に細かく分類されており、ベーシックタイプだけでも60パターンからの選択が可能です。またカラーシリーズも色のバリエーションが豊富で、オフィス内のアクセントカラーから基調色まで、柔軟な色合わせを可能にしてくれるでしょう。

ダイノックシートの種類

ダイノックシートは、900種類を超える圧倒的な品ぞろえを誇ります。

メーカーは、さまざまな色彩や柄、模様のデザインを幅広く展開しており、建築デザイナーの創造性をサポートしています。木目や石目、金属調など、多様なデザインと豊富な選択肢によって、あらゆる設計ニーズへの対応が可能になるでしょう。

耐久性

耐久性にも、リアテックシートとダイノックシートそれぞれの特徴があります。

リアテックシートの耐久性

リアテックシートの種類の一つ「高耐候リアテック」は、優れた耐久性能を誇る屋外用化粧フィルムです。

高耐候リアテックは、表面に紫外線を吸収する特殊なフィルムを採用しているため、美しいプリント層を長期的に保護できます。そのため、屋外垂直面に使用した際も約10年の長期耐候性が期待できます。また汚れや薬品による劣化がしにくいのも大きな特徴です。

ダイノックシートの耐久性

ダイノックシートも、優れた耐久性を特徴とする高機能フィルムです。

ダイノックシートの表面は、傷や摩耗に強い特殊な表面処理が施されているため、10年以上の耐久性が期待できます。施工業者はこの高い耐久性を活用して、人の往来が多い商業施設や公共空間への使用を推奨しています。また水回りの壁面や屋外看板など、過酷な環境下で安心して使用できるのも大きな特徴です。

価格

リアテックシートとダイノックシートは、それぞれ1㎡単位で販売されているのが一般的です。ここでは、それぞれのシートの平均的な価格を紹介します。

リアテックシートの価格

リアテックシートの価格は、種類によって差はあるものの、1㎡当たり4,900〜13,000円程度が相場です。

浴室パネルなどの大きなものだと、1枚当たり21,000〜23,000円程度の価格になります。

(いずれの価格も2024年12月現在)

ダイノックシートの価格

ダイノックシートの価格も、種類によって価格が異なります。平均的な値段だと、1㎡当たり5,400〜18,200円程度が相場です(2024年12月現在)。

選定するフィルムの機能性や、デザインなどでも値段が異なります。

使用目的

リアテックシートとダイノックシートは、いずれも幅広い目的で使用されています。

例えば、オフィスの内装デザインや外装仕上げだけではなく、家具のリメイクやキッチンリフォーム、自動車のカスタマイズ、さらには看板や広告ディスプレイなどです。空間の装飾だけではなく、床や壁の表面を保護する目的で使用されることも少なくありません。

4.リアテックシートとダイノックシートのどちらを選ぶ?

 リアテックシートとダイノックシートは、施工場所の特性に応じて慎重に選定しましょう。

選定を行う設計者は、それぞれのシートのサンプルを実際に確認し、求められるデザインや質感などに合っているかの確認や比較を行うことが大切です。しっかりと比較検討できたら、理想のオフィス作りを実現できるシートを選択しましょう。

5.オフィスでもリアテックシートは活躍する

 リアテックシートやダイノックシートは、オフィス環境の内装にも活躍します。

例えば、オフィスの扉におしゃれなデザインのシートを取り入れると、見た目を一新して印象を変えられます。会議室内をおしゃれに見せたい場合は、木目調のシートや、明るい色味でデザイン性の高いシートを部分的に使用するのもおすすめです。

このように、オフィス全体の印象を手軽に変えたい時は、リアテックシートやダイノックシートを活用すると良いでしょう。

6.リアテックシートとダイノックシートの貼り方

 ここでは、リアテックシートとダイノックシートの貼り付け方法を詳しく紹介します。施工場所によって処理方法が異なるため、実際に貼り付ける際は注意しましょう。

1:前処理

まず、シートを貼り付けたい場所の前処理を行います。

施工面にくぎやビスなどの突起物があれば除去し、さびや古い塗膜を剥がして、表面に付着している異物を取り除きましょう。

2:シーラー処理

次に、下塗り用の塗料の「シーラー」で施工面の処理を行いましょう。

シーラーを塗ることで、下地を補強して上塗り材の吸水量を調整したり、下地のあくなどが塗装に染み出るのを防いだりする効果が期待できます。

3:パテ処理

シーラー処理が終わり乾燥したら、パテ処理を行います。

パテ処理は、施工面に貼り付けるシートに下地の凹凸の影響が出ないよう、表面を平らにする作業です。くぎやビスでへこんでいる場所や、ボードの継ぎ目のへこみにパテを埋め込んでいきます。

4:表面処理

パテが乾燥したら、表面処理(サンドペーパー掛け)を行います。

パテ処理した施工面をサンドペーパーなどで磨き、シートの貼り付け面を平らに仕上げていきましょう。その際、表面が平らになるまで、パテ処理と表面処理を繰り返し行います。仕上がりに大きく影響するため、可能な限り平らな施工面を作っておきましょう。

5:表面清掃

表面処理ができたら、表面清掃を行い施工面をきれいにします。

アルコールやラッカー、シンナーなどを染み込ませたウエス(布)を使用して、ほこりやパテの削りかす、余分な油分などを拭き取りましょう。

6:プライマー処理

次に、プライマー処理を行います。

プライマーを塗布すると、下地とシートの接着性が高まり、剥がれを防止する効果が期待できます。専用のはけを使い、施工面に丁寧にプライマーを塗布しましょう。その際、重ね塗りをしないように塗布すると、表面に凹凸ができにくくなりきれいに仕上がります。

7:シートの貼り付け

プライマーが乾燥したら、施工面にシートを貼り付けましょう。

シートはあらかじめ貼り付ける面の大きさにカットして、接着部分の裏紙を少しずつ剥がしながら慎重に貼り付けます。シートがはみ出たり余ったりする場合は、端をカットすると美しい見た目に仕上がります。

8.施工はプロに任せるのがおすすめ

 リアテックシートやダイノックシートを貼り付ける際は、前述した方法に沿ったDIYも可能です。しかし、シーラーやパテ処理など、慣れない作業に時間がかかったり、シートを貼り付ける際に気泡が入ってしまったりして、仕上がりの見た目が悪くなるケースも多いので注意が必要です。

特にオフィスの施工では、企業イメージの維持と安全性の確保のため、DIYを避け、経験豊富な専門業者への一括した依頼をおすすめします。

9.まとめ

リアテックシートやダイノックシートは、オフィスの内装を美しく仕上げてくれる素材です。どちらのシートも、デザインが豊富で耐久性に優れているため、オフィスの新設や移転に伴う内装工事で活躍するでしょう。

オフィスの内装工事を検討している方で、デザインから施工まで一貫した業者を探しているなら、ぜひ間仕切.jpへお問い合わせください。複雑な内装シートの貼り付けに精通したプロのスタッフが、お客さまの理想のオフィスを演出します。「内装工事をどのように始めれば良いか分からない」といった方も、内装工事の豊富な知識を持つスタッフが、誠心誠意サポートいたします。内装工事に関するどのような悩みでも、まずは間仕切.jpまでお気軽にお問い合わせください。

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