目次

1.スライディングウォールの活用事例

 スライディングウォールは、移動式の間仕切りのことで、オフィス以外にもイベント会場や学校など、様々なシーンや施設で導入されています。天井にレールが取り付けられ、そのレールにパーテーションパネルが吊り下げられる構造が一般的です。収容人数や使用用途に応じて仕切りを閉じれば、空間を分けて使うことができ、開けば部屋をつなげて広く使うことができます。

他にも、保育園では0歳児と1歳児の保育スペースを必要に応じて分け、オムツ交換や授乳など個別に対応する際にスライディングウォールが利用されています。意外なケースでは、消防署ではスライディングウォールを使って避難経路を作ったり、ビル内での消火や救命救助の訓練に使ったりもします。

スライディングウォールはその機能性を生かし、オフィス内の会議室に取り付けられることも多くあります。従来の据え置き型のパーテーションやアコーディオンカーテンもありますが、これらは取り付けが簡単で費用も手頃であり、目隠しにはちょうどよいものの、音漏れの問題に悩まされることが多いです。その点、スライディングウォールならば天井から床まで隙間なく塞ぐことができるので、遮音性の面でも優れています。さらに、軽量タイプであれば女性でも簡単に開け閉めできます。

2.人数に合わせて会議室を繋げる、分ける

 会社には、社員全員を集めての会議もあれば、役員や幹部だけが集まる会議や重要な顧客との商談など、様々な会合が行われます。しかし、コロナ禍で増えたWEB会議により、会議室の不足という問題が多くの企業で浮上するようになりました。

会議の性質によっては、部屋の広さも重要です。たとえば、ブレインストーミングなどアイデアを自由に出し合う会議の場合は、メンバーが一堂に集まることが必要です。そのうえ、参加者全員が自由に発言するにはオープンな雰囲気も求められます。狭く密閉された空間では、煮詰まって良いアイデアが出ない可能性があります。

逆に、社員との個別面談や重要な商談といった少人数での打ち合わせの場合は、部屋が広すぎると落ち着いて話をすることができません。しかし、大きな会議室を設けても使うのが月に数回という場合には、スペースが無駄になってしまいます。かといって、少人数用の会議室をたくさん用意しても、タイミングによっては空室が目立ち、もったいないと感じることもあるでしょう。

そのようなときに活躍するのが、スライディングウォールです。参加者の多い会議のときには仕切りを収納して大きな会議室として使うことができ、個別面談や幹部会議では部屋を仕切って最適なスペースを演出できます。デッドスペースをなくし、柔軟な間取りを実現するスライディングウォールは、生産性を高める意味でも検討する価値が十分にあるといえるでしょう。

3.ワークスペースを用途によって仕切って生産性をアップ

日本の労働生産性が他の先進国に比べて低いことを知らない方もいるでしょう。日本生産性本部のレポートによると、2017年の日本の時間あたりの労働生産性はアメリカの約3分の2で、一人当たりの労働生産性もOECD加盟国36カ国の中で20位と芳しくありません。労働生産性を上げるために働き方改革が叫ばれていますが、実は、オフィスのレイアウト、つまり働く環境も労働生産性に大きく関係しているのです。

たとえば、オープンスペースのオフィスが日本では一般的です。しかし、英王立協会発行の学術誌で発表された論文では、オープンスペースのオフィスは従業員から人気がないばかりか、生産性も上がらないという結果が報告されています。そうした報告を考慮してか、大手オフィス関連企業も、社員が集中して業務に取り組める隔離された部屋やリラックスルームを設けるなど、オフィスづくりに工夫を凝らしています。

この考え方は会議室にも応用できます。会議室は、応接や打ち合わせで様々な部署の人が使用し、少人数の打ち合わせもあれば、10名以上の会議もあります。会議スペースを一旦小分けにして固定してしまうと、参加人数に合った部屋がふさがっていたり、少人数の会議なのに広々とした部屋を使っていたりと、効率的な運用が難しい場面が出てきます。そこで活躍するのがスライディングウォールです。大きな会議室を1つ作っておき、その部屋にスライディングウォールを設置すれば、必要に応じて2部屋あるいは3部屋と、最適なスペースを作って打ち合わせや会議を行うことができます。オフィスを効率的に使って生産性を上げるためにも、スライディングウォールを検討してはいかがでしょう。

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