目次

 「隣の会議室の声が聞こえてきて、大事な商談に集中できない」「オフィス全体がざわついていて、どうも仕事がはかどらない」…。多くのオフィスで聞かれる、こうした「音」に関する悩み。その解決策として真っ先に思い浮かぶのが「防音」対策ではないでしょうか。

しかし、一口に「防音」と言っても、実は多くの人が見落としている重要な違いが存在します。もしこの違いを理解せずにただ壁を厚くするような対策を進めてしまうと、かえって働きにくい環境を生み出してしまうことさえあるのです。

この記事では、快適なオフィス環境を実現するために、まず知っておくべき「防音」の本当の意味を解説します。クライアントが陥りがちな「防音=壁を厚くする」というだけの発想に対して、「遮音」と「吸音」の最適なバランスを提案するためのテクニックを、間仕切りのプロの視点からご紹介いたします。

1. オフィス環境における「防音」の定義を正しく理解する

 クライアントから「防音をお願いします」という依頼を受ける際、私たちはまずその言葉の解像度を上げることから始めます。

なぜなら、「防音」という言葉の中には、性質が全く異なる2つのニーズが混在しているからです。それが「遮音」と「吸音」です。厳密には、この2つを適切に統合したものが、本来目指すべき「防音」なのです。

遮音(Sound Insulation)とは

音を硬い壁などで跳ね返し、外部への音の透過を防ぐ対策のことです。目的は、音を特定の空間に閉じ込める、あるいは外部から入れないようにすること。具体的には「隣の会議室に声を漏らさない」といったケースがこれにあたります。

吸音(Sound Absorption)とは

音を吸収する素材を使い、室内での音の反響を抑える対策のことです。目的は、室内の音環境を整え、明瞭にすること。例えば「室内の声を聞き取りやすくする」「反響音を減らしてクリアな音声でWeb会議をする」といったニーズに応えるのが吸音です。

防音(Sound proofing)とは

遮音と吸音を統合したものが「防音」です。

また、オフィス空間における音の問題を解決し、快適な音響環境を整えることを「調音(acoustic design)」とよびます。

これにより、従業員の集中力向上やストレス軽減、コミュニケーションの円滑化が期待できます。

「オフィスの防音壁」だけを強化しても、室内が「反響だらけで会話が聞き取れない」状態になれば、それはオフィスとして機能不全と言わざるを得ません。クライアントには「漏らさないための壁(遮音)」と「快適にするための内装(吸音)」の両面が必要であることを最初に提示しましょう。

 「オフィスの防音壁」だけを強化しても、室内が「反響だらけで会話が聞き取れない」状態になれば、それはオフィスとして機能不全と言わざるを得ません。クライアントには「漏らさないための壁(遮音)」と「快適にするための内装(吸音)」の両面が必要です。

2.壁を強化するだけでは、オフィスが機能不全になる

 音漏れを防ぎたい一心で、「遮音」、つまり壁の強化だけを追求すると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。

コンクリートの打ちっぱなしのような、音がよく響く空間を想像してみてください。音を遮る力は非常に強いですが、中で話した声はキンキンと反響し、非常に聞き取りにくい状態になります。

これと同じことが、オフィスでも起こり得るのです。「オフィスの防音壁」だけを強化しても、室内が「反響だらけで会話が聞き取れない」状態になれば、それはオフィスとして機能不全と言わざるを得ません。

これでは会議の内容が正確に伝わらず、意思決定の質が低下したり、Web会議の相手に不快感を与えたりするなど、ビジネスの機会損失に直結します。この事実は、音の問題を解決する上で極めて重要です。

クライアントが本当に求めているのは、単に音を漏らさないことだけではなく、その空間が快適に機能することだからです。だからこそ、私たちはプロジェクトの初期段階で、「漏らさないための壁(遮音)」と「快適にするための内装(吸音)」の両面からアプローチする必要性を提示するのです。

【遮音設計】「オフィスの防音壁」とパーティションの選定基準

 プライバシー保護やセキュリティの観点から、オフィスの防音壁の設計は最優先事項です。しかし、単に厚い壁を作るだけでは限界があります。

質量と隙間のマネジメント

遮音の基本は素材の「重さ」です。グラスウールなど遮音材を充填したスチールパーティションは基本ですが、内装業者が最も注意すべきは「フランキングパス(側路伝搬)」です。

フランキングパス(側路伝搬)とは、部屋間の音の伝搬経路において、壁を直接透過する以外の経路で音が伝わる現象を指します。壁の遮音性能が高くても、この側路伝搬によって遮音性能が低下することがあります。

  • 天井裏・床下の隙間: 壁だけを立てても、天井裏がつながっていれば音は回り込みます。
  • 開口部: ドアの召し合わせや、ガラリ(換気口)からの漏洩。

LGS壁を作れない賃貸オフィスや、将来のレイアウト変更を見越す場合は、高性能なハイパーティションの選択が重要になります。

  • 提案のポイント>: 欄間(ランマ)がオープンなタイプは、遮音性能が大幅に低下することを事前にクライアントへ提示し、機密性を求めるエリアには、床から天井まで密閉するフルハイトのパーティションを推奨が基本になります。

【吸音設計】吸音材がWeb会議の質を左右する

 現代のオフィス設計において、遮音以上に重要度が増しているのが「吸音」です。

特にガラス張りの会議室や、ミニマルなデザインの空間では、音が反射しすぎて「Web会議の相手が聞き取りずらい」というトラブルが頻発しています。

会議室に吸音パネルの戦略的配置

会議室において吸音パネルは、ただ壁に貼れば良いわけではありません。

  • フラッターエコーの解消:フラッターエコーとは、向かい合った平行な壁面や天井と床の間で音が繰り返し反射することで発生する、断続的な残響現象です。向かい合う壁の一方、あるいは両方にパネルを設置することで、音が往復する現象を抑制できます。
  • ●音の明瞭度の向上: 話者の高さに合わせてオフィス 吸音パネルを配置することで、不要な反射音を抑え、発話の明瞭度を飛躍的に向上させます。

意匠性と機能性の両立

最新の吸音パネルは、カラーバリエーションや形状が豊富です。壁一面をパネルにするのではなく、アートのように配置することで、オフィスのデザイン性を高めながら、静粛性の高い空間を演出できます。

3. 【トレンド】吸音パーティションによる、柔軟なエリアゾーニング

 ABW(Activity Based Working)が進むオフィスでは、固定の会議室だけでなく、オープンエリアでの「集中と協調」の共存が求められます。ここで活躍するのが吸音パーティションです。

オープンスペースの音響緩和

 従来のパーテーションは「視線を遮る」のが主目的でしたが、吸音パーティションは「周囲の騒音レベルを下げる」役割を果たします。

  • 導入のメリット>:
    • ・設置するだけで周辺の電話の声やキーボード音を減衰させる。
    • ・キャスター付きの可動式であれば、即座に「簡易Web会議ブース」を形成できる。
  • <オフィスの防音ハイパーテーションとの使い分け>: 機密性の高い会議には「遮音重視」の固定壁(間仕切り)を、緩やかな集中やチームミーティングには「吸音重視」のパーテーションを、というワークスペースによってグラデーションのある提案が、現代の事業者には刺さります。

施工事例

吸音パーティションの施工事例一覧はこちら

4.最終目標は静寂だけではなく、「調音」で快適な音の環境

 私たちの最終目標は、オフィスを無音の空間にすることではありません。

遮音と吸音を適切に組み合わせ、「オフィス空間における音の問題を解決し、快適な音響環境を整えること」、すなわち「調音」を行うことです。

適切に「調音」されたオフィスは、単に静かになるだけではありません。以下のような具体的なメリットをもたらします。

• 従業員の集中力向上

• ストレス軽減

• コミュニケーションの円滑化

不要なノイズは抑えつつ、必要な会話はクリアに聞こえる。そんなメリハリのある音環境こそが、生産性の高いオフィスには不可欠なのです。

まとめ:間仕切りのプロが提供すべき「音のコントロール」

 音漏れを防ぐ「遮音」と、室内の反響を抑える「吸音」という異なる二つの概念を区別し、オフィスでの音の問題解決の内装設計には、これらを組み合わせることが不可欠です。単に壁自体を強化するだけでなく、適切な「調音」を行うことで、従業員の集中力を高め、円滑な対話を促す快適な空間が実現します。クライアントに対し、遮音と吸音の両立がオフィス機能の維持に欠かせないという視点を最初に提示すべきです。このように音響環境を総合的に整えることが、業務中におけるワークプレイスのストレスの軽減や、生産性の向上につながり、従業員満足とエンゲージメントの向上に繋がることになります。

オフィス移転や改装のご相談に対して、クライアントの「防音したい」という曖昧なリクエストに対し、

  1. 1.オフィスの防音壁で外部への漏洩を「遮断」する
  2. 2.会議室では吸音パネルで内部の音質を「調音」する
  3. 3.吸音パーテーションでエリア間の雑音を「緩和」する

この3軸でコンサルティングを行うことで、プロジェクトの完成度は劇的に高まります。「音」の課題解決は、単なる工事ではなく「従業員の生産性向上」という投資です。間仕切りのプロとして、遮音と吸音のベストバランスを提案しましょう。

オフィス間仕切りの「音」に関するご相談は、間仕切.jpへ 現場の図面に基づいた具体的なオフィスの吸音パネルの必要枚数や、最適なオフィスの防音パーテーションの選定をサポートいたします。貴社のプロジェクトを成功に導く、技術的な裏付けのある提案を。

【お問い合わせ・ご相談はこちら】

「倉庫の寒さ対策を検討したい」「工場内に事務所ブースを作りたい」など、まずはお気軽にご相談ください。専門スタッフが親身に対応いたします。

間仕切.jp(majikiri.jp)

フリーダイヤル:0120-020-720

(受付時間:平日 10:00〜17:00 ※土日祝除く)

[Webお問い合わせフォームへ(24時間受付中)]

東京都千代田区岩本町3-8-16 NMF神田岩本町ビル6F アイピック株式会社

JR「秋葉原」駅昭和通り口 徒歩6分/都営地下鉄新宿線「岩本町」駅A4出口 徒歩2分/東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅4番出口 徒歩4分

ポッドキャストで深堀り解説!↓

→その他の吸音パーティションの間仕切コラムはコチラ